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会津電力株式会社
「雄国太陽光発電所」

会津電力株式会社

佐藤 彌右衛門さん

(福島県)

地域の電気は地域でつくる
2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故は巨大で未曾有の被害を与えました。未だ福島県内では帰還できない地域があり、いつ廃炉処理が終了するのかの見通しは立っていません。
原発事故の悲惨さを目の当たりにした私たちは、未来の子供たちが安心して使える持続可能なエネルギーへの転換をしていく事を決意しました。

会津盆地は、周囲の山々から流れてくる「水」、平野を穀倉地帯とし潤う里山の恵まれた「食料」、尽きる事の無い山の木々等の豊富な資源に恵まれて、悠久の時を経てきました。地域の外から何も運びこまなくても、豊かな暮らしを送る事ができるのです。事故をきっかけに、改めて足元にある資源を見つめ直す事の重要性に気が付きました。

私たちは国や東電を非難するだけでなく、原発を見過ごしてきた責任として、まず私たち自身で地域にある、太陽光、小水力、木質バイオマス、風力等の豊富な再生可能エネルギーを使って、安全で持続可能なエネルギーを作り出すことを決意し、平成25年の8月に会津電力株式会社を設立しました。そして、最初に手掛けたのがこの「雄国太陽光発電所」です。以来、太陽光発電所の建設を続けており、現在は福島県内に60ヶ所の小規模太陽光発電所が完成しています。

平成26年10月に完成した「雄国太陽光発電所」は標高500mの高台にあり、四季それぞれに美しい会津の風景を見下ろす事ができます。また、冬季の積雪が2mにもせまる雪国会津ならではの積雪対策を施した発電所です。太陽光パネルの角度は、実証実験によって雪が滑り落ち易く発電量も確保できる最適の角度(30℃)に設定しました。架台は汎用性のある単管パイプを組み上げ、地上から2.5mの高さにパネルを設置しました。この高さにより、冬の間もパネルが雪に埋もれる事はなく雪国であっても発電する事ができます。

発電所だけでなく、敷地内には、再生可能エネルギー体験学習施設を併設し、一般市民の方々の研修や視察・見学、子ども達への再生可能エネルギー体験教室、工作教室などを開催しています。完成以来、約1500名の方々に訪れていただいています。今後も、これらの活動を通して、皆さまに少しでもエネルギーに関心を持ってもらう事を目指しています。

エネルギーは誰かが作ってくれるもの、と他人任せにするのではなく、地域のエネルギーは地域の中で作り出し、地産地消していく取り組みを私たちが始める事によって、本当の豊かな暮らしを未来の子ども達に引き継いでいけると信じています。