■福島第一原発事故を背景に策定された「電力システム改革」
福島第一原発事故は、原発の絶大な危険性だけでなく、遠隔地にある大規模発電所から都市部へ電気を供給するという従来の電力供給の仕組みが、安定供給上の課題も抱えていたということをあぶり出しました。
その事実を受け、政府が着手したのが「電力システム改革」です。
大手電力の地域独占・垂直統合を解いていくことが意図され、2015年から2020年にかけて進められました。
その柱は以下の3つです。
1.2015年:電力広域的運営推進機関(OCCTO)の設立
2.2016年:小売全面自由化
3.~2020年:送配電部門の法的分離(子会社化)
上記1~3の実施に必要な措置を定めたのが「改正電気事業法」です。
改正電気事業法では、電力システム改革状況の検証を「5年以内に」実施し、「その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と規定されていました。規定に基づき、検証が2024年に行われ、2025年2月、「電力システム改革の検証結果と今後の方向性」としてパブリックコメントにかかりました。
「電力システム改革の検証結果と今後の方向性(案)」はこちら (経産省のWebサイトへ)
■問題ありの検証結果
そもそも、電力システム改革には発送電分離が不十分であること、主力電源を原子力や火力とする従来の考え方のままで、そうした古いシステムから脱却できる再エネ電源の普及を妨げる部分があることなど、様々な問題点が指摘されていました。
ところが、今回の検証は、これまで指摘された問題点に対する検証が認められないものでした。
そのため、㈱生活クラブエナジーでは以下の内容を求めるパブリックコメントを提出しました。
1.原子力発電からの脱却
2.系統利用ルールの改善
3.容量市場の廃止
4.電力自由化における公平性、透明性を基本とした所有権分離による発送電分離への転換
全文はこちら
今後、脱炭素を推進するためには再エネを拡大する政策転換が不可欠です。㈱生活クラブエナジーでは、今後も様々な団体と協力し、政府へ再エネ優先の電力システムを求めていきます。