生活クラブ自然エネルギー基金とは、再生可能エネルギーの普及を目的に造成された基金です。その原資は「生活クラブでんき」の契約者からの寄付。任意で電気代の5%に相当する額を毎月寄付いただいています。
助成対象は「単協活動助成」「電源開発助成」「生活クラブ以外の電源開発助成」「自然エネルギー推進助成」の4種類。2017年の助成開始から、毎年2回、申請に基づき基金運営委員会で協議し、助成対象を決定してきました。
2024年、助成を受けた活動のうち、一部を報告します。
単協活動助成 生活クラブ東京主催 福島視察ツアー
催行日:2024年11月9・10日 参加者14名

この視察ツアーの目的は、東京電力福島第一原発事故がもたらした被害の大きさを学び、事故を契機に福島で始まった再エネ創出の取組みについて知見を深めること。そして、学んだことを生活クラブでんきへの切替えを呼びかける活動へ生かすことでした。参加した14名は、生活クラブ東京で生活クラブでんきの推進を担う組合員たちです。
生活クラブでんきの生産者、飯舘電力株式会社の千葉訓道さん、米澤一造さんの案内で、福島県内の様々な関連施設を巡りました。
福島県富岡町「とみおかアーカイブ・ミュージアム」

東日本大震災と原子力災害を地域の歴史に位置付けることを目的として設立した博物館。富岡町の北東部は、除染やインフラ整備が進められていますが、現在も帰還困難区域に指定され、立ち入りが制限されています。
福島県双葉町「東日本大震災原発災害伝承館」
福島イノベーション・コースト構想推進機構が運営。福島で起きた地震、津波、東京電力福島第一原発事故の複合災害の実態や、復興に向けた歩みが展示されています。
震災遺産を収蔵した2つ施設を視察することで、「震災をどう語り継ぐのか」を多面的な視点でを学びました。
土湯温泉 地熱バイナリー発電事業「元気アップつちゆ」

歴史ある温泉街が震災により大きなダメージを受け、震災直後、町としての存続が危ぶまれていました。地熱発電を観光資源とし、売電収入をも復興に役立てようと設立された施設です。
飯舘村長泥地区、浪江町津島地区の帰宅困難区域、特定再生拠点の視察
飯舘電力㈱の千葉さん、米澤さんから解説をいただき、両地区の現在を学びました。
参加者からは、「震災から13年が経ち、忘れてはいけないと思っていても記憶から抜け落ちている事や風化してしまっていることがたくさんあると気づいた」、「再び学ぶ機会をえたことで、改めて原発と共存できないことを思い知らされた」などの感想が寄せられました。
電源開発助成 生活クラブ埼玉 本部センター
生活クラブエネルギー事業連合PPA事業太陽光発電所及び蓄電池、V2H(Vehicle to Home)の設置


V2H(Vehicle to Home)とは、電気自動車(EV)のバッテリーに蓄えられた電気を自宅で利用できるようにする仕組みです。この仕組みを活用すると、太陽光で発電した電気をEVに充電し、夜間や災害時にその電気を使うことができるようになります。

太陽光発電と蓄電池、V2H設備を組み合わせると、発電した電気の自家消費率が大きくあがり、無駄なく再エネを使うことができます。また、災害時の電源確保と地域へ電気を供給できるコンセントも設置しています。

このように生活クラブ自然エネルギー基金では、実際に再エネを普及するための設備投資や、普及の動機付けとなる学習活動に助成を行なっています。