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でんきのはなし

電気って必要ですか?「節電家」の連続コラム③

2012年7月、当時の首相が「原子力発電所を再稼働する」と宣言したのをきっかけに、ぼくは節電道に踏み入りました。震災に遭った福島から転勤になり、当時は渋谷の賃貸マンションに住んでいました。電力が自由化になった今なら再生可能エネルギーを多く使う生活クラブエナジーのような電力会社を選んでいたのでしょうが、その時はまだぼくたちに選択肢はなく、東京電力を使うしかありませんでした。
まずしたのは「アンペアダウン」です。東電に電話して、40アンペア(A)だった契約を一気に最小の5Aに下げることにしました。約1200円だった基本料金が不要になり、約230円で月8キロワット時まで使えるようになりました。その代わり、一度に使える電気は5A=500ワットに。1000ワットを超えるエアコンや電子レンジは使えません。節電道を志した以上、小手先の節電だけに甘えてはいけない。根本から生活を変えなくてはいけないと、自ら退路を断ったのです。

でも、これまで電気をどのくらい使っているかなんてほとんど意識したことはなく、電気はまさしく湯水のごとく、使いたいだけじゃぶじゃぶ使ってきました。5A生活をはじめたものの、すぐに、ブレーカーがいつ落ちるのではないかと、びくびくすることになりました。

朝日新聞記者 斎藤健一郎(節電家)