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でんきのはなし

計11万2,957筆! 脱原発、脱炭素と再生可能エネルギーへの転換の加速を求める署名を提出しました

2024年2月6日(火)、衆議院第二議員会館にて、生活クラブ生協主催で院内集会「脱原発、脱炭素と再生可能エネルギーへの転換を求める」を開催しました。
生活クラブでは、気候危機や原発、資源の問題などを解決するため、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の使用を推進しています。一方、日本政府は「脱炭素化社会の実現」を理由に、原発(原子力発電)推進に政策を転換。これを受けて生活クラブでは、原発推進では気候危機を解決することはできないこと、気候危機対策に有効な発電は再エネであることなどを求め、2023年9月から12月にかけて署名活動や自治体への意見書の提出を行ないました。
集会には、生活クラブ組合員がリアルとオンラインで179名集まり、皆で集めた署名11万2,957筆を経済産業大臣、環境大臣宛てに提出しました。

また、署名提出とともに市民の脱原発、脱炭素、再生可能エネルギーへの転換を求める声を国政の現場にいる方々へ届けようと、生活クラブの他、脱原発に取り組む自治体の長、気候変動対策に取り組む2団体、生活クラブ提携生産者3団体に登壇いただきました。
さらに当日は国会議員・議員秘書あわせて14名がかけつけました。
集会の様子を報告します。

開会挨拶 エネルギー政策提案運動実行委員長 佐野めぐみさん
■今日の行動がこれからのスタートの一歩

今回の署名活動を含め、市民である私たちが主体的に行動してつながり、力を合わせることによって、脱原発、脱炭素、再エネへの転換は実現できます。今日の行動がこれからの一歩です。
約113,000人もの市民の賛同を得ることができたことを大きな力として、持続可能な社会の実現を進めましょう。

世田谷区長 保坂展人さん
■これからの時代、最大の課題は「人類と地球の共存」となる

世田谷区では2050年にCO2排出量実質ゼロと目標を設定。自治体同士の連携を広げ、再エネ普及に取り組んでいる。気候危機は特に子ども、若者が一番大きな影響を受ける問題だ。未来を見据え、彼らが話し合える場を作っている。

Climate Integrate 代表理事 平田仁子さん
■気候変動の状況は本当に厳しい状況です

解決には国が、組織が社会構造を早急に変革すること、そして今までのトップダウンから脱却し、市民が社会をつくる担い手になることです。

Fridays For Future Tokyo竹迫莉さん、小原メリさん
■今、声を上げなかったことで後悔をしたくない

一人だけで頑張るのは限界。同じ思いを抱える人との連帯の力が必要。また、政治でしか解決できないことがある。だから、国政にかかわる方たちには動いてほしい。


重茂漁業協同組合 後川良二さん
■再生可能エネルギーこそ持続可能な水産業をひらく

東日本大震災で被災し、福島原発の事故で水産物の風評被害を経験した我々にとって、その恐怖や苦しみを再び味わうことは耐え難く、故に原発推進は看過できない。

有限会社 こだわり農場鈴木 鈴木晋示さん
■生産者が電気を作ることは、今後の日本の農業に不可欠になる

ソーラーシェアリングの申請でアイデアを出しても「前例がないから」門前払い。前例を作るのは誰か? 再エネ推進の規制緩和含め、国が率先してすべきでは?

JA庄内みどり 遊佐町共同開発米部会 池田恒紀さん
■地域ぐるみで地産地消型のエネルギーづくりを

遊佐町には地域の人や生活クラブ関連の皆と作った太陽光発電所がある。さらに一歩進めて、地域の農業者も含む地元の生活者たちがエネルギー自給できるしくみを作りたい。

閉会挨拶 エネルギー政策提案運動 副実行委員長 加瀬和美さん
■次期エネルギー基本計画を再エネ中心に

生活クラブ組合員で秋田県に風力発電施設を建ててからもう十年以上が経つ。しかし日本のエネルギー基本計画はまだ原発依存から脱していない。政府には脱原発、脱炭素、再エネへのシフトの我々の思いを受け止めてほしい。私たちはこれからも自分の地域に戻り再エネにチェンジにする賛同者を募っていく。

■来場した国会議員からの言葉を紹介します

  • 福島第一原発の事故の危機的な状況に遭遇し、脱原発は絶対に必要と確信する。原発推進にストップをかけなければならない。一緒に頑張ろう。
  • 日本の原発には致命的な欠陥がある。それは有効に機能する避難計画が作れないことだ。災害により道路が寸断され避難できるのか。原発を動かすことは、国民を危機にさらすことではないか。
  • ソーラーシェアリングやペロブスカイトのような日本発の新技術で、日本の再エネの遅れを取り戻したい。
  • 福島第一原発の事故後、今も多くの人が生まれ育った故郷に帰れない。その視点でも原発は問題だ。
  • 断層だらけ、地震だらけの日本。先入観を持たず、真摯に一つひとつ検討していけば、原発は無理だろうと結論づけられるはずだ。
  • 若い人たちはじめ、環境やジェンダー平等など、新しい動きを求める人たちがいるのを感じている。しかし今の政治はそれを阻むものだ。一緒に変えていこう。
  • 中間貯蔵施設新設の問題も出てきている。原発の廃棄物のために、自然破壊の恐れが。次の世代のためにも原発は進めるべきではない。
  • 原発は環境にも悪い、コストも見合わない。それなのになぜ続けるのか? 突き詰めると、裏金の問題と無関係ではないのでは。

集会後、衆議院第二議員会館前でスタンディング・アクションを行ないました

院内集会に参加した組合員と関連団体の一人ひとりが脱原発・脱炭素と再エネへの転換を訴えました。


2024年度は新しいエネルギー基本計画の策定の年となります。その焦点の1つは、温室効果ガスの削減に向け、日本はどのように電源の脱炭素化をすすめるのかということ。
2023年7月、札幌での主要7か国エネルギー環境大臣会合で、「35年に温室効果ガスの排出を2019年比で60%削減する」と共同声明に盛り込まれました。これは、日本のこれまでの削減目標を上積みするものです。この達成に向けて、日本のエネルギー政策は、更なる転換が求められています。
一方、今回の署名活動で声を上げた通り、国内ではGX脱炭素電源法の制定により60年を超える原発の運転継続や、原子力産業の手厚い支援など、原発回帰の体制が敷かれました。
原発では気候危機対策の有効な手段にはなりえません。気候危機への有効な手段は再エネの拡大です。次期エネルギー基本計画が、再エネを中心としたものになるよう注視し、活動を継続していきます。