一般社団法人グリーンファンド秋田は、生活クラブ風車「夢風」の事業目的法人です。
社員は、生活クラブ東京・神奈川・埼玉・千葉 NPO法人北海道グリーンファンド、(株)市民風力発電です。
生活クラブは、深刻化する地球温暖化問題や海外への化石燃料依存、さらに原発の計り知れないリスクを解決するために、自然エネルギー社会へのシフトをすすめ、その第1ステップとして、生活クラブ東京・神奈川・埼玉・千葉単協で協同して自分たちの風車建設の検討をすすめました。第2ステップは生活クラブ風車から事業所への電力供給とし、第3ステップとして自分たちの電力会社をつくり事業所や家庭への自然エネルギーによる電気の共同購入をめざしました。
2011年3月11日の東日本大震災による東京電力㈱福島第一原発の事故が発生しました。これまで国や電力会社にお任せにしてきた電力を、市民の手に取り戻そうと、各単協総代会で秋田県にかほ市への風車建設を決議。建設に向けた組合員カンパや風車の名称募集などに取組み、2012年3月「夢風」と名づけられた生活クラブ風車が稼働し、4月より首都圏の生活クラブの41事業所へグリーン電力として供給を開始しました。エネルギーを「減らす、つくる、使う」を柱とした生活クラブ総合エネルギー政策に基づき、風車建設でめざした第3ステップの電気の共同購入にむけて、2014年には(株)生活クラブエナジーという、生活クラブの電力小売り会社が設立され、2015年度よりの事業所への電気の供給に続き、2016年6月からは組合員家庭への電気の共同購入がスタートしています。生活クラブ風車「夢風」は2016年4月より、発電全量を生活クラブエナジーに売電しています。
生活クラブ風車「夢風」は、出力1990kWhで発電量は年間473万kWh(1300世帯分)の計画で秋田県にかほ市芹田に建設しました。風力発電に適した風の吹いている秋田県に風車を建て、その電気を首都圏で使うというのは「お米」の産直と同じ考え方です。ですから建設当初から、都市と地方とのエネルギーを通じた地域間の連携、対等互恵な関係をつくっていくことをすすめてきました。
その一つが人的交流です。組合員リーダーツアー、事務局リーダー研修などとして首都圏の組合員がにかほ市を訪れ、また、デポーフェアなどにかほ市から首都圏を訪問して交流するなど、顔の見える交流も毎年行っています。昨年の交流人口は、年間のべ100人以上となりました。これらの交流費用は、主に生活クラブ風車の売電収益でまかなわれています。
二つめは、にかほの産物の取組です。風車建設記念イベントの横浜でのにかほ大物産展の開催や単協独自品の取組をすすめてきました。また、2015年度より、生活クラブ組合員とにかほ市の生産者が共に生活クラブのオリジナル品の開発をすすめる「夢風ブランド」開発活動をスタートしました。2016年度は、生活クラブ神奈川と㈱飛良泉本舗の「純米大吟醸 夢風」、生活クラブ東京と伊藤製麺所の「タ・ラーメン醤油味」、生活クラブ千葉と日南工業㈱の「鱈しょっつる」、生活クラブ埼玉と佐藤勘六商店の「べっぴんさんいちじく」が夢風ブランドとして首都圏の生活クラブ生協で取り組まれています。
また、生活クラブ風車の建つ芹田地区では、2015年度より芹田営農組合が生活クラブのトマトケチャップの原材料となる加工用トマトの実験栽培をすすめています。今年は、にかほ市で栽培・収穫された大豆が生活クラブ豆乳の原材料として組合員に供給されることとなりました。
生活クラブ風車「夢風」は来年で稼働5年を迎えます。おおぜいの組合員とにかほ市の人々との交流や、首都圏でのにかほの産物の共同購入を通じて、電気や風車「夢風」をより身近に感じる組合員がどんどん広がっていけば良いと思っています。そのことが、自分たちのエネルギーを自分たちで考えるというエネルギーの自治の一歩につながっていくのだと思います。
一般社団法人グリーンファンド秋田
事務局長 鈴木伸予