再エネで暮らす未来を拓く~小さな市民立の発電所の挑戦
東京での出資市民発電所第一号
2012年7月から始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を追い風に、東京中で最初の出資型の市民共同発電所として、2013年2月、小平市学園西町にこだいらソーラー市民発電所第一号が稼働を開始しました。
これまで自然保護やごみや地球温暖化防止などにさまざまな市民活動として取り組んできた市民が、3.11原発事故をきっかけに、遠くの巨大なエネルギーに頼るばかりではいけない、市民の力で地域にクリーンなエネルギーを増やしていくことをめざそうと、NPOこだいらソーラーを立ち上げ、太陽光市民共同発電所づくりに取り組んできた結果です。
その後、さらに市民の皆さんから資金の拠出や応援をいただき、津田町に2号機やまびこ、小川町に3号機未来、隣の東村山市廻田町に4号機めぐる、2016年5月には仲町に5号機むさしを設置しました。全部で5機76kWの市民発電所が稼働しています。
発電した電気は、地域の送配電網に流れ、地域のエネルギーの地産地消の一端を担います。災害時には、自立運転に切り替えて、非常用エネルギーの供給拠点ともなるものです。FITで保証された20年間の売電事業により、出資した方々に少しの利息をつけて償還することができます。
広がる市民発電
こだいらソーラーは、市民発電所をまちの資源、エネルギーシフトのシンボルとして、市民にエネルギーのことを身近に考えてもらうきっかけにと、市とも協働して、再エネの普及・啓発活動にも力をいれています。セミナーや見学会、ベランダ発電工作教室などを開催しています。
市民の手による創エネ事業をめざす活動は、全国あちこちに広がり、以前からの寄付型のものも含めると、市民共同発電所と呼べるものは1000機に届こうかという勢いです。全国の市民共同発電所が一堂に会す「全国フォーラム」が毎年開催され、固定価格買取制度の3年間のブースト期間もまたずにはじまった電気事業者による出力抑制や、制度見直しの逆風も跳ね返す勢いで、熱く活動報告が交わされています。
2014年には、市民電力事業を志す人たちのネットワーク「市民電力連絡会」が発足し、こだいらソーラーも運営委員を務めています。市民発電所づくりのノウハウを学ぶ学習会や団体間の交流会を開催したり、再エネをさらに推進していくために国への意見書を出したりといった活動をしています。市民発電所づくりには、場所探しから資金集めまで、さまざまな困難があり、ネットワークを組んで共有する課題に取り組み、困難を突破することができたらと考えています。
売電先を生活クラブエナジーへ
2016年4月、電力自由化がスタート。いよいよ普通の市民も電力会社を選ぶことができるようになったことをチャンスに、私たちのつくった珠玉の再エネ電気を、再エネ小売りをめざす新電力を通じて、再エネで暮らしたい消費者市民に届けたい。私たちは、市民電力連絡会やエネルギーシフトを求める多くの市民団体とともに、新電力の再エネ調達と再エネ小売事業の拡大を促し、市民に、「デンキを選んで社会を変えよう!」と呼びかけるパワーシフトキャンペーンを展開しています。そして、実際に、こだいらソーラー2~4号の電気の売電を、生活クラブエナジーに引き受けていただくことになりました。生活クラブエナジーの供給する電気に混じって、組合員の皆さんに使っていただいています。
再エネで暮らす未来を引き寄せるために、小なりといえども創エネに取り組む地域の小さな発電所を、どうぞ、応援してください。
来年2017年1月13日~15日には、小平市中央公民館で展示イベント「ECOひろば~電力自由化早わかり」、2月にはソーラークッカー活用セミナーを開催予定です。どうぞ、お訪ねください。
NPO法人こだいらソーラー
理事長 都甲公子(生活クラブまち小平組合員)