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生活クラブ大阪 市民共同発電所

生活クラブ生協大阪は、組合員数17,506名(2017321日現在)、大阪府下の大阪市より北側を配達エリアとし、5つの支所(配送センター)があります。生活クラブ連合会に加入したのは2007年なので歴史が浅いと感じられるかもしれませんが、2018年で50周年を迎えるそれなりに歴史ある生協です。

 

私たちは、チェルノブイリ原発事故や核のごみ問題を学んだことから、CO2排出抑制と脱原発を進めるために2005年から2008年にかけて10kW規模の太陽光発電を市民共同発電所として枚方市の香里支所と茨木市の茨木支所に各1基ずつ作りました。設置費用は組合員のカンパなどで賄ってきましたが、採算は取れていませんでした。2011年に福島第一原発事故が起き、3基目として大阪市内の平野支所での建設を決定したところ2012年にFIT法が施行されたため、採算が見込めるようになりました。20121010kW規模の発電所が完成しました。先に作った2基は自家消費ですが、平野支所の太陽光発電だけはFIT利用で全量売電なので、現在は生活クラブエナジーの発電所の一つとなっています。

 

設置費用としては、設備・工事費のほか講演会など広報宣伝費を含めて480万円でした。多くの組合員に脱原発と再生可能エネルギーについて考えてもらう機会として、480万円の内121万について組合員活動で集める計画を立てました。共同購入のチラシを使い年22年間に渡って全組合員からのカンパ申し込みを受け付け、80万円を集めました。また毎年秋に開催している「生協まつり」(2015年からは名称改め生活クラブ生協フェスタ)では組合員によるバザーを催し2年間で40万円を集めました。さらにブロックでの組合員活動として募金活動をしたり手芸品を販売したりして2年間で13万円を集めました。これらの組合員活動で計134万円となり、目標を達成し、不足分を生協事業から支出しました。1kW40円(税抜き)で20年間は買取されるので年間の総発電量10,000kWで計算すると800万円になり、途中でメンテナンスをしても採算がとれると判断しました。現在も順調に稼働しています。

この平野支所の太陽光発電設置を通して、脱原発や自然エネルギーについて考える機会とするための広報活動の一つとして愛称を組合員から募集し、地元の平野ブロックの組合員からの応募で「ソーラーひらの」と決定しました。また、組合員活動として脱原発のパブリックコメントを提出したり、学習会を開催したり、エコライフ家計簿参加呼びかけを行ったりしてきました。

 

これらの取り組みの様子が2012111日付の毎日新聞に取り上げられ、「借入金を返済したあかつきには次の自然エネルギーを作る夢ができました」という当時の理事長の談話が掲載されていました。今読み返してみて、連合する力で生産者の遊休地などで発電所を作り、各地の生活クラブの配送センターの屋根の発電所と合わせて電源として電力会社まで持つことができたことが夢のようだと感じます。そして次の自然エネルギーとしては関西6単協で進めている住吉川小水力発電の計画があります。当時は小水力発電もあまり知られていなかったけれど、「学び」も「実践」もどんどん広がり着実に進化していることを実感します。3,11の原発事故以前から問題意識を持っていた先輩組合員の取り組みを継承し進化させている私たちの活動を、一人でも多くの人に知らせて仲間を増やしたいと思います。

生活クラブ生協大阪 理事長

浅井由起子