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野辺山営農ソーラー

生活クラブや地元の農業者、ご当地電力らが協力して作った発電所

長野県南佐久郡にある野辺山営農ソーラー㈱は、生活クラブ生協を含む5つの事業者が共同事業としてすすめる営農型太陽光の発電所です。5つの事業者とは、地元の営農団体2団体、地元の市民エネルギー事業者、持続可能なエネルギーの推進を行なってきたNPO法人環境エネルギー政策研究所、そして生活クラブ生協です。ここで発電した電気は、生活クラブでんきの中部電力管内の契約者にお届けしています。
営農型太陽光発電とは、ソーラーシェアリングとも呼ばれ、耕作地の上に太陽光パネルを設置し、1つの土地で農業と発電を行なうものです。発電の収益により農業基盤の安定が見込め、食とエネルギーの自給及び持続可能性に貢献できる取組みです。
野辺山営農ソーラーはしばらく耕作していなかった農地に建設され、この事業をきっかけに再び農地としてよみがえることになりました。

2023年10月、この発電所にかかわる皆が集まり竣工式を行ないました

日本で一番標高の高いソーラーシェアリング施設

当発電所は、標高約1,400mに位置し、敷地面積約3万2,000㎡、現状日本で一番標高の高い場所にある長野県最大級のソーラーシェアリングです。ソーラーパネルの枚数は約3,000枚、年間発電量2,400MWh(発電開始から1年間の実績)で、年間約440世帯分の電力供給が可能です。

両面受光パネルを採用し、積雪の際、地面に積もった雪からの反射光でも発電し、その発電の熱によりパネル上面の雪を溶かします。また、パネルは地面から5mというソーラーシェアリングとしては比較的高い位置に設置されています。これはソーラーパネルの下にハウスを設置するため。ハウスでは花卉とほうれん草を栽培予定です。栽培に必要な農業機械もハウス内で使えるようにこの高さになりました。

架台の高さは5メートルというソーラーシェアリングでは比較的高い位置に設置

架台の下に設置された花卉のハウス

太陽光パネルは作物の生育や農作業の妨げにならないか

ソーラーシェアリングでよくある疑問は、農作物の生育にパネルが邪魔にならないのか、ということ。間隔をあけてパネルを設置するため、生育に必要な光は十分に降り注ぎます。また、植物には種類ごとに生育に必要とする光の量に上限があり、強すぎる光は栽培に役立たないそう。特に、野辺山営農ソーラーで栽培が予定されている雨よけほうれん草はもともと適度に遮光して育てるものであることから、ここでの栽培にとても適しているといえます。

従来の「発電所」のイメージをくつがえす 人が集い、つながる、あたたかな発電所を目指して

野辺山営農ソーラーは発電と農業以外にも、新しいエネルギー自給のかたちを提案する場でもあります。例えば、敷地内にある別荘だった建物を活用し、飲食店や農業体験など、人が集まり、つながる場所にすること。そんな、これまでの発電所のイメージを覆す、エネルギーと農業を中心にして、この土地の自然や歴史も生かした再生可能エネルギーでつながる地域づくりを始めようとしています。

野辺山営農ソーラー全景

発電所敷地内にある元別荘の建物。ここを活用して人の集まる場づくりを行なう

建物内部

この構想は「野辺山ヌーヴォー」と名付けられ、エネルギーと人との新しい関係を体感できる場所にすることを目指しています。今後の展開をぜひご期待ください。

<発電所概要>

■所在地:長野県南佐久郡南牧村野辺山
■敷地面積:31,863平米

■ソーラーパネル設置枚数:約3,000枚

■定格出力:1,500kW(モジュール容量1,611.3kW)

■発電実績:2,406MWh(2022年11月~2023年10月 約440世帯分の年間供給量に相当


※Photo:©SIROKURO (サムネイル画像を除く)